第2回目のゲストは『BAGN,Inc.』代表の坂口修一郎さん(以下:坂口さん)。今回は「まちの魅力をみんなで発信していく」をテーマにお話していただきました。ご自身が主催されている『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE』の事例を通し、参加者と一緒にテーマについて深く考える時間となりました。オフラインの開催を予定していましたが、新型コロナウィルス拡大の影響で残念ながら第2回もオンライン開催でした。その様子をレポートします。
『川内川かわまちづくりシンポジウム』についてはこちら。
みんなでつくる文化祭『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE』
2010年より坂口さんが主催となり、南九州市川辺町で仲間たちと『GOOD NEIGHBORS JAMBOREE』(以下:GNJ)を毎年開催しています。
GNJを運営していく中で、事務局メンバーやサポーターに3つのインナーメッセージを伝えていると話されていました。
3つのメッセージとは『DIY,BYO,BHN』
・『DO IT YOURSELF』。自分たちの手で作り、できる部分は自分たちでやる。
・『BRING YOUR OWN』。各々の「好きなこと・得意なこと」でできることを持ち寄って場を作る。
・『BE HERE NOW』。今ここで、ここにいる人でなければできないことをする。
「GNJは音楽だけでなく、編集者や建築家、料理家等も集まります。」
「廃校の講堂でレクチャー・ワークショップを開催したり、子供たちにも役割を作って場内のアナウンスをしてもらったり、プロ・アマや障害の有る無しを問わず、会場にいるみんなで空間を作っています。」
文化の地産地消を実現していくためには
GNJの第1回目から心がけていることは「全員参加のお祭りにして、お客さんを0にすること」。坂口さんはそれを「文化の地産地消」と呼んでいます。
「文化の地産地消」を実現するためには、
・開催する地域に住んでいる人が「地元でも楽しいことがある」と感じるようになること。
・各々が持っているものを尊重し合うこと、お互いにリスペクトし合う関係性をもつこと。
「居場所ができ、自分のまちに肯定感を持つ人が増えることで、まちのことを自分で発信する人が増えていくと思います。」
「外側だけではなく内側に向けて発信することも大事です。まちに住んでいる人がまちに愛着持っていないと力がある発信ができません。」
「地域の良さや足元を見つめなおし発信することは必要で、その手段の1つとしてお祭りがあり、継続できる仕組みを作らないといけません。」
外の視点を取り入れることで広がる新しい価値
講演の最後にGNJを通して生まれた価値についてお話してくださいました。
・様々な場を作ったことで『文化資本』が生まれ、ネットワークや友達ができ、幸せな関係性が生まれた。
・場での仕事をそのまま換算するのではなく、GNJで生まれた繋がり等を通じて、お金が返ってくる奥行きのあるマネタイズが生まれた。
「「今、自分は何を生み出しているか?」「未来に何が起きるか?」を考えながら準備していくことが大事です。」「“しなやかな”まちや場所には旅人の視点を持った人が集まりやすいです。足元の価値をみんなで見出して、プライドを持ち、関係性を常にアップデートしながら対流を起こして楽しい熱量を維持すると、自分たちの物語になっていきます。そして、それが「まちの魅力は皆で発信していく」ことに繋がっていくのではないかと思います。」
これからの川内川流域の魅力の発信に対して熱量が広がっていった時間
坂口さんの講演後、参加者との対話の時間がありました。いくつか質問があがりましたが、その中の1つを紹介します。
【質問】
・「GNJを継続してみんなで盛り上げる」「お客さんを0にする」と話されていたが、周りの理解度を深めるアプローチの具体的な方法は?
【坂口さん】
・仲間と一緒にいる時間を増やすこと。出来るだけ自分が何を考えているのかだけではなくて「参加してくれている人たちが何を考えているのか?」ということをお互いに知ることが第一。
・コミュニケーションの時間を通して熱を伝えること。出来るだけ接している時間を増やすことが大事。自分だけが一方的に熱を伝えることはしない。
・熱量が伝わった人が同じ熱量で別の人に伝えていくこと。一人がもう一人に、その一人が次の一人に、というように熱量を広げていくことが必要。
質疑応答後、川内川流域の各市町村から参加してくださった皆さんから今回のお話を聞かれた感想や今後の想いをお話していただきました。
「川内川流域という新しい地図(概念)が頭の中にパっと描かれた時は爽快でした。私たちの手で、想像力で、繋がることで、これからどのような形になっていくのか、とても楽しみです。」
「GNJに参加した事があり、坂口さんの言葉に深く頷きながら聞かせていただきました。いろいろな工夫での場づくりがある事も知ることが出来て、とてもありがたかったです。」
等、今後の川内川流域の魅力における発信について熱量がある声が上がりました。
ご登壇いただいた坂口さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。